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1.Nenia
月光眩しい夜、アウィスは羽ばたく。
あてどなく夜風と戯れるうちに、
耳馴染みのある旋律が彼の耳をかすめた。
優しく、哀しくたゆたう歌声が
見知らぬ森の奥深くへといざなう。
鬱蒼とした木々に飲まれた遺跡で
闇の中に囚われていたのは
歌を奏でる不思議な人形だった。
君は誰だ。
何故、僕と同じ姿をしている?
何故、僕と同じ歌を知っている?

2.忘却の都市、深淵の森
遺跡を駆ける風は啼く。
響くは遠い過去の嘆き、
今は聞き取れない古のことば。
導かれるまま、
運命の邂逅は果たされる。

3.サルベージ
アウィスを連れ戻すため、
大地の民も森へと分け入る。
見つけたのは歌う人形、
それもアウィスにそっくりな…。
崇拝対象の"トリ"は今やただ一人。
祈りの歌を永遠に奏でる存在は
大地の民にとって思わぬ幸運だ。
彼らは不思議な人形を引き揚げ、
嬉々として連れ帰るのだった。

4.鳥籠の二人
大地の民の村に鎮座する巨大な神殿。
その頂、ガラス張りの部屋に
人形は運び込まれた。
ふと頭上から降り注ぐ光と声。
そこには部屋の主、アウィスがいた。
同じ歌を奏でる同じ容姿の二人。
互いの境遇を知る中で、
少しずつ彼らの距離は縮まっていく。
そしてアウィスはその人形に
マキナという名を授ける。

5.鍵
孤独だった時間を埋めるように
二人は語り合う。
感情がわからないアウィスと、
満足に飛べないマキナ。
それでも、ひとりよりずっと良い。
互いの信頼によって紡がれた歌声は
マキナの中に封じられた記憶を
図らずも呼び覚ましてしまう。

6.記憶-monologue-
マキナの口から語られる過去の記憶。
今は"トリ"と呼ばれる空の民が
人形たちの生みの親であった。
大地の民に奪われ続け、
隠れるように森の中で生きる空の民。
彼らの身の上を知った人形は逆上し、
一斉に大地の民へと襲いかかった。
狂ってしまった人形を止める術は
もはや破壊しか残されていない。
人形たちを強制的に崩壊させる歌、
"滅びの歌"を奏でる
最後の人形を起動させ、
空の民は惨状に終止符を打った。
これ以降、その歌と空の民は
平和の象徴として大地の民に祀られ、
最後の人形は森深くに封じられた。
全ては、遠い過去の出来事。

7.存在意義
紐解かれた過去に触れ、
マキナが最後の人形だと気付いた二人は
別々の場所でひとり思い悩む。
仲間を殺めた果てに、
空の民は未だ囚われの身だと知ったマキナ。
人形たちの犠牲とマキナの拘束を対価に
生きる場所を得たことを知ったアウィス。
このまま彼の天寿を見送るだけならば。
このまま彼女が身代わりとなるならば。
何のために生まれてきたというのか。
何のために生きていけば良いのか。

8.決意-Makina-
せめてアウィスだけは、
自由へと解き放たなくては。
滅ぼすために生まれたのなら、
その力をあなたの為に振るおう。
仲間の思いを背負い、
マキナは決意した。

9.決意-Avis-
せめてこの歌だけは、
マキナのために封じなければ。
たとえ限られた時間だとしても、
穏やかな世界を君に残したい。
初めて芽生えた心を胸に、
アウィスは決意した。

10.解放への飛翔
アウィスのためなら
全てを犠牲にしても構わない。
マキナは強大な力を解放するため
胸に光る制御装置を握りつぶした。
熱暴走と共に、
激しい感情が身体中を支配する。
衝動のまま窓を突き破り、
夜空へ大きく羽ばたいた。
運命に仇なす笑い声が響き渡る。
永遠を捨てることで得た、命の実感。
さあ、自由と解放を掴み取ろう。
それが血濡れたものになろうとも。

11.叫び
駆け付けたアウィスの目に飛び込んできたのは
逃げ惑う大地の民と、
我を忘れたマキナだった。
空中で対峙する二人を
「壊せ」の大合唱が取り囲む。
刃のように舞う羽を爪でいなし、
暴走を止めようとするアウィス。
傷付くことを恐れる余裕は無かった。
己の翼が何かに食い込む感覚で
マキナはハッと我にかえる。
眼前のアウィスに全てを悟っても
暴れる体はもう制御不能だった。
諦めたくないアウィス、
自己犠牲を厭わないマキナ、
過去を知らない大地の民。
三者の叫びと想いが交錯する。

12.Somnium
壊れゆくマキナを抱えたアウィスは、
何者をも寄せ付けない
深い森に辿り着いていた。
湖のほとりで身を寄せる二人を
静寂だけが見守っている。
握った手と手の中にあるぬくもりこそ、
誰も知り得ない二人だけの自由。
あたたかく包み込む朝日に
アウィスはゆっくりと目を閉じた。

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